BMWオイル下がり

ヘビー級の修理事例が続きます。

マフラーから白煙が出て止まらない、E66BMW750i、N62エンジンの修理事例です。

知り合いの業者さんから「白煙が止まらない」とのご相談でお預かり。

確かに煙りが延々(煙々)と止まりません。

エンジントラブルで、オイル上がりとオイル下がりと呼ばれる物がありますが、マフラーからこれだけモクモクと白煙を吐かれると…非常に珍しい。

基本点検でスパークプラグを外したところ、8本全部が真っ白&粉吹き状態でした。オイルが燃えてるのが濃厚です。

オイル上がりだとすれば、ブローバイガスと共に多量のオイルを吸い込まないと、こんだけ白煙を吹くのは考え難いです。念の為ブローバイ系統のパイプを外し確認しましたが、異常といえる程の問題はありませんでした。勿論、圧縮も測定して基礎体力も問題なさそうです。っていうよりこのエンジン、普通のエンジンよりも圧縮高い!

「圧縮高い」は後の考察で…。

次に、オイル下がりの疑惑。

インテークマニホールド兼サージタンクの中もオイルまみれで、吸気ポートもオイルがべっとり。このオイルが燃えて白煙になっているのは間違いなさそうです。念の為、サージタンクと吸気ポートをキレイに掃除して、再度エンジンを始動してみたものの、30分もしないうちに白煙がモクモク。キレイにしたはずのサージタンクも吸気ポートも、あっという間にオイルべっとり。この時点でオイル下がりによるモノと断定です。

 

ヘッドO/H作業の開始です。

 

オイル下がりの主原因となったバルブシールは、ゴムが酸化してプラスチックのような硬さになっておりました。

ヘッドや各パーツはキレイに洗浄して、慎重に組付けて無事に問題解決となりました。

・・・考察・・・

古いエンジンで今回のようなバルブバルブシールを持たず、バルブとバルブガイドのみの構造のエンジンも存在します。また1960年代のエンジンで、バルブシールが劣化で割れてしまったエンジンでも、今回のような白煙の酷さはありませんでした。

今回のBMWの場合は、ダブルバノスと呼ばれる、可変バルブタイミングと可変バルブリフトの機構を持つエンジンでした。可変バルブリフトの方は、エンジンの出力を要する際はハイリフト量になりますが、エンジンの出力を要さない低回転時には、エンジンが止まらない程度の最小リフト量に変化し、その量はほんのわずかな隙間です。そこで生まれる吸入流速は非常に速く負圧も高く、高圧縮を得られます。しかしそんなエンジンだからこそ、スロットルが閉じたアイドリング状態で、空気を吸える箇所として、バルブとバルブガイドの隙間から、ヘッド内部の空気と一緒にエンジンオイルを吸ってしまったのでしょう。

そしてオイルシールがこのような劣化に至った原因は、エンジンオイル管理の問題が大きいです。オイルは空気に触れ温度の変化により酸化します。酸化したオイルに浸されたゴムが劣化するのは当然の事。だからオイル交換はサボってはいけないのです。ロングライフオイルなる物に騙されてはいけません。

旧車や外車のヘビーな修理事例のブログが続きましたが、テクノアートではオイル交換や車検、点検などを行なう普通の自動車修理工場ですので、お気軽にご用命ご相談下さい。

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